愛知県自転車専門店「リンユウ・グループ」(輪友会)

三人乗り

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3人乗り自転車 支援加速
自治体、レンタル・購入補助 次々
愛知、利用希望者が殺到

 子育て支援策として、幼児2人を前後に乗せられる「3人乗り自転車」のレンタルや購入費補助を打ち出す自治体が相次いでいる。愛知県内では、今年度から実施している豊田、刈谷市などに続き、新年度は名古屋や豊橋、春日井なども支援策をスタート。3人乗り自転車の値段は1台数万〜十数万円するだけに、利用希望者が予想を上回る人気ぶりだ。
 名古屋市は国の安心こども基金を活用し、全国最多の600台を新規購入して、4月から月額1000円で貸し出す。申し込みの受け付けを先月8日から始めたところ、応募が殺到し、約2週間で定員をオーバー。市子育て支援課は「希望者が多いので抽選にしたが、すごい人気」と反響に驚いている。
 北名古屋市も今月から、電動アシスト付き三人乗り自転車を月額400円、ふつうのタイプを同200円で1年間の貸し出しを始めたほか、岡崎、日進市などは保育園に配備して交通安全教室などで活用している。
 今年度から、同基金の活用メニューに3人乗り自転車のレンタル事業が認められ、費用が全額補助されたことが、自治体の積極支援の大きな要因だ。
 しかし、刈谷市では同基金を使わず、購入後3か月以内に領収書とメーカー保証書を添えて申請すれば、上限4万円で購入費の半額を補助する市単独事業を昨年10月から始めた。これまでに130件を超える申請があり、同12月には予算が足らなくなって補正予算を組んだほど。新年度も、さらに拡充する方針だ。
 市子育て支援課は「厳しい財政事情の中、市単独で行うのは大変だが、自転車が盗まれたり、貸し出し中に故障したりした場合の対応を考えると、購入費を補助した方がいいと判断した」という。
 同市内の主婦小林さおりさん(32)は毎日、1歳と4歳の娘を乗せて、幼稚園まで送り迎えしており、「3人乗り自転車はちょっと値段が高くて、補助がなかったら手が出なかったかもしれない。でも、娘が途中で寝ちゃうほど、乗り心地は最高」と笑顔で話した。
 一方、岐阜、三重両県内の市では、レンタルや購入補助の動きはなく、両県の担当者は「山間部を抱える自治体では自転車より、車の方が便利なのではないか」「新しい制度なので、関心の薄い自治体もある」などと話している。

 ●3人乗り自転車に関する愛知県内の各市の取り組み
    購入費補助    刈谷、豊田、安城
    レンタル   (有料)名古屋、豊橋、春日井、北名古屋
             (無料)一宮、瀬戸、半田、碧南、西尾、蒲郡、犬山、江南、知立、尾張旭

読売新聞 2010年3月9日(火曜日)

3人乗り自転車の貸し出し受け付け
市、子育て家庭対象

 市は、子育て家庭向けに貸し出す三人乗り自転車の利用受け付けを始めた。四月からは最長六カ月間(更新も可能)、月額千円で利用できる。
 満一歳以上六歳未満の幼児を二人以上育てている世帯が対象。内装三段変速ギアタイプを五百十台、電動アシストタイプを九十台貸し出す。
 三人乗り自転車は、昨年七月の規則改正により解禁された。一台八万〜十五万円と高額な上、使用期間が限られるため、市はレンタル事業を行うことにした。利用者は、各区に一〜三カ所を予定する指定自転車小売店で貸し出しを受ける。
 申し込みは、市内の保育・幼稚園各区役所などに配布された申込書に、住民票など住所が確認できる書類を添えて提出する。締め切り希望する月の前々月末。四月一日からの利用希望者は二十八日必着。問い合わせ・中部リサイクル運動市民の会内の事務局=電(339)5747

中日新聞 2010年2月15日(日曜日)

市、来春から貸し出し
3人乗り自転車 月額1000円で
補正予算案に準備費6000万円

 は、幼児二人を乗せられる三人乗り自転車のレンタル事業を来春から始める。計560台を用意し、月額千円で最長六カ月間借りられる。準備費として二十日開会の十一月議会に提出する補正予算案に六千万円を盛り込んだ。
 三人乗り自転車は、子育て家庭の支援策として七月に規制改正で解禁された。満一歳以上六歳未満の幼児を二人以上育てている世帯が対象。一台八万〜十万と高額なうえ、使用期間が限られることから、市は県の補助を受けてレンタル事業を行うことにした。
 十一月議会で可決されれば、委託先の事業者を選定。各区一〜二カ所、小売店などに窓口を設けてもらう。来年四月開始を予定しているが、市子育て支援課の担当者は「できれば前倒しして三月にも実施したい」と話している。空きがあれば、六カ月を超えて更新可能。県によると豊田市、春日井など十八市町が同様の事業を計画している。

中日新聞 2009年11月20日(金曜日)

県議会一般質問

3人乗り自転車
18市町が880台購入へ
保険加入 一定期間個人に貸与

 九月定例県議会は三十日、一般質問を行い、吉田徳保、伊藤勝人、筒井隆彌(自民)、谷口知美、水谷満信、長江正成(民主)、小島丈幸(公明)の七氏が登壇した。国の経済対策で新設された「地域子育て創生事業」として実施する三人乗り自転車貸出事業について、県は県内十八市町が計八百八十台を購入し、子育て中の母親らに貸し出す予定であることを明らかにした。(大村歩、岩崎健太朗)

 三人乗り自転車貸出事業については、筒井氏の質問に答えた。
 三人乗り自転車は子どもが二人以上いる母親らのニーズが高かったが、運転が難しく転倒事故も相次いだことから、警察庁が禁止していた。しかし、若い母親らから反発を受け、安全向上を条件に容認へ方針転換し、今年七月から全国的に解禁された。
 新しい三人乗り自転車は、前輪を二輪とするなど安全性が向上している一方、電動アシスト付きで一台十二万円程度、アシストなしでも六〜八万円と割高なため、子育てサークル関係者らから「行政による購入補助や貸出事業が必要」との声が上がっていた。
 県によると、事業費は九千三百万円で、購入予定台数は名古屋市が五百六十台、春日井市が五十台、知立市が二十台など。台数を絞ってアシスト付き自転車を購入する自治体もある。観光地のレンタル自転車のような時間貸しではなく、事故や盗難の保険に加入した上で、一定期間個人に貸与するという。
 県は「国の事業が来年度も継続されれば、県内全市町村で実施できるよう働き掛けたい」と答えた。

以下、【DV一時保護所を拡充へ】の記事は省略。

中日新聞 2009年10月1日(木曜日)

読売新聞 2009年7月2日掲載分(大沢奈穂撮影)

ママ「高すぎる」
自転車三人乗り解禁
専用車5万〜10数万円

 幼児2人を自転車の前後に乗せる「3人乗り」が1日全国でほぼ一斉に解禁された。一定の安全基準を満たした専用の自転車が必要で、幼児は6歳未満に限られる。東海地方でも専用車の販売が始まったが、5万円台から十数万円と高額なため、主婦からは「安全だとは思うが、手軽に購入できない」と戸惑いの声があがっている。

 警察庁によると、三人乗りが認められるのは、強度やブレーキ性能など6項目の基準を満たした自転車。安定性向上のためフレームを太くしたりし、子どもの座席の安全を図ってシートベルトやヘッドカバーをつけるなど、特殊な設計のため値段も上がるという。適合車には自転車協会の「BAA」マークか、製品安全協会の「SGマーク」が張られる。
 自転車の3人乗りについては、警察庁が一昨年に禁止を徹底する方針を打ち出したところ、子育て中の母親らが一斉に反発。このため、同庁は昨春、条件付きで容認する方針に転換した。従来の自転車での3人乗りは、道交法違反で2万円以下の罰金か科料の対象になるが、高額な専用自転車を新たに購入する必要があることから、愛知県警などは、当面は発見しても注意や指導にとどめる方針だ。
 一方、解禁に合わせ、愛知県などの自転車販売店にも自転車が並んだが、客足は今ひとつだった。同県東海市の「スーパーサイクル東海店」では、4台を展示。訪れた同市名和町の主婦佐久間久巳さん(37)は「子どもが5人いるのであんぜんのためにも欲しかったが、高すぎる」とため息をついた。小川幹雄店長(54)「レンタルや補助金などの支援策を考えないと浸透は厳しいだろう」と話していた。

読売新聞 2009年7月2日(木曜日)

新制度 不安抱え
3人乗り自転車
高額・・・助成の動きも

 自転車に幼児二人を乗せる三人乗りが一日、全国でほぼ一斉に解禁となり、一部のメーカーは強度や安定性などの新たな安全基準に適合した新モデルの販売を始めた。
 新型自転車の価格は六万〜十数万円と従来の自転車より高めとなっており、前橋市が購入費の一部負担を決めるなど地方自治体による助成金創設の動きも出ている。
 運転者は十六歳以上に限られ、専用座席に乗せることができるのは六歳未満の幼児二人。基準を満たす自転車には自転車協会(BAA)製品安全協会(SG)認証マークが貼られている。基準外の自転車で三人乗りした場合は罰金もありうるが、警察庁は「当面は指導・警告にとどめ、ルールについて周知を図っていきたい」と話している。
 名古屋市の担当課は「小売店で扱っているというじょうほうはまだ聞かない」としており、店頭に並ぶのには時間がかかりそうだ。

中日新聞 2009年7月1日(水曜日)

3人乗り自転車
関連5法人に天下り
旧通産、警察OBら15人

 七月一日から、一定の安全基準を満たした新型車に限り、幼児二人が同乗できる「自転車三人乗り」が解禁される。その新型車の認証などに関係する六つの公益法人のうち五法人に計十五人の旧通商産業省や警察庁などのOBが天下っていることが分かった。
 三人乗りが認められる新型の自転車には、強度や安定性など六つの要件が求められる。要件を満たさない自転車で三人乗りをした場合、都道府県によっては指導や警告の対象となることがある
 メーカーは、新型の自転車の検査について、日本車両検査協会か自転車産業振興協会(いずれも財団法人)に費用を支払う。安全性が認められれば、社団法人自転車協会が発行する「BAAマーク」か財団法人製品安全協会の「SGマーク」の料金を支払い、シールを張って販売する。
 業界団体である自転車協会にはOBはいなかったが、製品安全協会には旧通産省OBが常勤で二人二つの検査機関にも旧通産省を中心に七人が天下りしていた。
 また、三人乗りを認める新型自転車の仕様を決めるにあたり、安全性や転倒時の衝撃などを調査研究した財団法人日本交通管理技術協会には、警視総監経験者を含め警察庁OBが五人
 幼児を自転車に乗せている母親を対象にしたアンケートを実施した財団法人日本自転車普及協会の役員には、旧通産省と警察庁OB計三人(うち二人は自転車産業振興協会と兼務)が就任していた。

中日新聞 2009年6月26日(金曜日)

自転車3人乗り来月からOK

ただし新型車が必要

 自転車に幼児二人を乗せる「三人乗り」が各都道府県公安委員会の規則改正で七月一日から全国一斉に認められる。特別な構造の新型自転車に限られ、運転者は十六歳以上であることが条件。これに先立ち愛知県警は二十三日、実車を使って安全運転を呼び掛けた。
 新たに認めるのは、新型自転車のサドル前後の専用座席に六歳未満の幼児二人を乗せる方法六歳未満の一人を専用座席に乗せ、四歳未満の一人を背負ってひもで固定する方法も可能。従来は幼児一人を乗せた「二人乗り」のみ認められていた。
 新型自転車は▽強度が十分▽転倒しにくい▽ハンドル操作に影響する振動が起きない、など六つの条件が求められ、自転車協会(BAA)や製品安全協会(SG)のマークで認証する。
 従来の自転車に専用座席を後付けした場合は認められず、「三人乗り」には新車が必要だ。ただ、十万円を超すモデルが目立つなど高価なため、保護者の負担は大きい。このため、県警は各自治体に補助制度の創設を働き掛ける。
 県内では昨年、二人乗りや三人乗り自転車の交通事故で負傷した幼児が六十七人いるという。県警は「子どもの命を預かる保護者が安全運転することが大事」と強調、昨年六月から努力義務となった児童や幼児のヘルメット着用を徹底することも呼び掛けている。

中日新聞 2009年6月24日(水曜日)

3人乗り自転車解禁へ

ママ運転気をつけてね

 幼児二人を乗せることができる「三人乗り自転車」について、警察庁の検討委員会(座長・小川武史青山学院大教授)は九日、安全基準を満たしたものに限り認めるべきだとした報告書をまとめた。その上で、安全基準に適合していることを示したマークの表示や自治体などによる購入費助成制度の導入が望ましいとしている。【関連】≪下記≫

警察庁、7月にも

 三人乗りはこれまで禁止されていたが、警察庁は、都道府県警に、三人乗りを認める公安委員会規則に改正するよう指導する。早ければ七月にも解禁される。
 三人乗りは、警察庁が禁止を徹底しようとしたことに若い母親らが「非現実的だ」と反発、条件付き解禁に方針転換を決めていた。
 検討委員会は昨夏、三人乗り自転車について、強度やハンドル操作など構造上必要な六要件を中間報告として示していた。すでに十社近いメーカーが、六要件に合う自転車の開発に乗り出している
 今回の報告書では、少子化対策や子育て支援の観点からも解禁するべきだとした。幼児にヘルメットを着用させることも要求。安全表示マークは、社団法人自転車協会の「BAA」や財団法人製品安全協会の「SG」などを想定している。
 三人乗り用の自転車は、通常の自転車より価格が高くなることが予想されるため、普及には、自治体の助成制度やレンタル制度が必要とした。
 すでに前橋市では、価格を八万円程度と見込み、購入費の半額(最大四万円)を助成する制度を導入している。東海地方の自治体では今のところ補助などの動きはない。

3人乗り自転車の6要件

◎ 幼児2人を同乗させても十分な強度がある

◎ 幼児2人を同乗させても十分な制動性能がある

◎ 駐輪時の転倒防止のための操作性、安全性を確保する

◎ 自転車のフレームや幼児用座席が取り付けられるハンドルなどに十分な剛性がある

◎ 走行中にハンドル操作に影響が出るような振動が発生しない

◎ 発進時、走行時、押し歩き時および停止時の操縦性、操作性および安定性が確保されている

中日新聞 2009年4月9日(木曜日)

【関連】  行政が助成、レンタルを

3人乗り自転車 高価格がネックにも

 警察庁の検討委員会の報告がまとまり、早ければ今年七月にも解禁される見通しとなった「3人乗り自転車」。普及に向けては、価格などがネックとなる可能性があり、東海地方の関係者からは行政の支援や工夫を求める声が上がっている。
 愛知県東海市で自転車販売店を経営する小川幹雄さん(五四)は、新たな三人乗り自転車の小売価格は一台あたり六万〜八万円になる可能性があると指摘。「子ども用のヘルメットが普及するなど、ユーザーの安全に対する意識が高まっているのは確か。ただ、子育て中の短い期間のために購入するには、高額すぎると感じる人が多いのではないか。子育て支援策の一環として行政による購入補助が必要だろう」と話す。
 名古屋市中川区の子育てサークル「子育て愛知」代表、武田規公美さん(二九)は、三人乗り自転車解禁の動きを「小さな子どもを二人連れて歩くのは大変。自転車に乗ることができれば、買い物だけでなく散歩にも出かけやすくなり、母親の息抜きにつながる」と歓迎する。
 一方で、同市緑区の子育てサークル「あおぞら」代表、溝口江理子さん(五六)は「(解禁となっても)この経済情勢で若い世代が自転車購入の新たな負担をするのは難しく、行政によるレンタル制度など工夫が必要だ。さらに、自転車が走りやすい生活道路の整備なども大切」と指摘した。

同 中日新聞 2009年4月9日(木曜日)

3人乗り自転車
12タイプ競作へ

 「自転車産業振興協会」(東京都港区)は、条件付きで解禁されることになった3人乗り自転車の開発をメーカー11社などに依頼することを決定し、8日、各社のイメージ図を公表した。12月までに試作車を完成させ、早ければ来春にも正式発売される見通し
 警察庁は現在、解禁に向けて安全性の基準を作成しており、今後、協会と調整する。
 同協会は今年4月末、新型車の開発を公募。14件の応募の中から、ブリヂストンサイクルや丸石サイクルなど大手メーカーのほか、ベンチャー企業と個人の計12件を採用した。
 車輪を小型化して重心を低くし、前後にヘッドガード付き幼児座席を装着した従来の自転車に近い2輪タイプのほか、前輪を小さな2輪にすることで幼児座席の高さを低くした東京理科大の学内ベンチャー企業の3輪タイプも採用された。12件には同協会から補助金が支給され、今後、試乗会も開かれる予定

読売新聞 2008年7月9日(水曜日)

子ども同乗自転車 やはり危険

 いよいよ新学期。子どもを自転車の補助いすに乗せて通園デビューする家庭も多いはずだ。法律で認められた二人乗りでも、危険と隣り合わせ。「生活のために必要」という声も多いが、その危険性をあらためて確認しておきたい(井上圭子)

【走行中の事故例】
母親が女児(三つ)を自転車の後部の荷台に取り付けた補助いすに乗せて走行中、バランスを崩して転倒した。女児は補助いすに座ったまま倒れて頭の左側を強打。当初は「耳の後ろが痛い」と号泣していたが、徐々に意識が薄れ、母親の呼び掛けにも応えなくなった。救急病院では片目の瞳孔が開いた状態で、急性硬膜外血腫と判明。頭の中の血液を取り除く緊急手術を受けた。

【停車中の事故例】
「ガチャン!」母親がちょっと目を離したすきだった。スタンドで止めていた自転車の前部補助いすに一人で座らせていた男児(二つ)が騒ぎだし、自転車もろとも倒れた。男児はコンクリートの角で頭を強打し、頭の右側を陥没骨折。救急病院で緊急手術を受けた。

【押し歩き中の事故例】
寒い冬の朝。母親は男児(三つ)を自転車のハンドルとサドルの間に付けた補助いすに乗せ押し歩きをしていた。凍結した路面で自転車がスリップ母親は重みを支え切れず、自転車の上に乗りかかる形で転倒した。男児はアスファルトの路面に頭の右側を強打。「走行中の事故例」とほぼ同じ経緯をたどった。

            ◇

これらの事故例はいずれも、現在、米国のシーダース・サイナイ・メディカルセンターに出向中の宮本伸哉医師(脳神経外科)が二〇〇三年当時、救命救急センターで実際に治療に当たったケースだ。死に至った例はなかったものの、いずれの親たちも取り乱し、泣き崩れたという。
宮本医師が03年、東京都区内の幼稚園百園の保護者を対象に行った調査では、事故発生時の状況で?走行中42%?停車中32%?発進時12%?押し歩き時8%−の順。「停車中と速度が遅い状態の事故が半数以上を占める。速度が遅いほど、自転車は不安定」と注意を促す
けがをした時の医療機関の受診率は20.5%と低く、「病院や警察が把握している五倍の事故数がある」と推測。それをはるかに上回るヒヤリ・ハット体験があるとみる。
親の安全意識の低さと、子どもが負う重いけがとのギャップに心痛する宮本医師は「日本では条件付きで三人乗りを認める動きも出ているようだが、冗談じゃない。三人乗りどころか二人乗りでも非常に危険だということを認識して」と警告。手持ちの自転車の後部につなぐ自転車用トレーラー普及を呼びかける。
宮本医師が推奨する米国の市販品では、自転車の転倒時も影響を受けず安全性が保たれるという。日本の法律では軽車両扱いとなるため「歩道上を通行できるようにするなどの法整備も必要」と強調する。
従来の自転車で子どもと同乗する場合、せめて製品安全協会の基準に合格した「SGマーク」付きの頭部までカバーする補助いすやヘルメットを使用したい

中日新聞 2008年4月3日(木曜日) 【本紙中のイラスト省略】

警察庁「安全なら容認も」
こぎ出せる?三人乗り自転車

開発費、価格・・・課題山積
業界「手探り状態」

 「自転車三人乗りの禁止徹底へ」から「安全な自転車が開発されれば三人乗り容認も検討」―。子育て中の親から猛反発を受け、警察庁が方針転換し、にわかに“三人乗りママチャリ”への期待が高まってきた。一体どんな自転車が出てくるの?(井出圭子)

 「要は、重心を低くすればいいんです。スクーターのように運転者の足元を平らにして、そこに子どもを座らせれば安定する。これなら警察庁の容認条件も満たせると確信しています」
 昨年六月、前輪が小さく低重心で、サドルの軸が前後に動く新概念自転車で特許を取得した東京都江戸川区の元精密機器メーカー会社員、保戸田秀男さん(六四)は胸を張る。この自転車は、脚力の弱い人でも、安定した走行が可能だ。
 子どものころから自転車が大好きな保戸田さんだが、病気と加齢でちょっとした上り坂もきつくなった。非力でも乗りやすい自転車を探し回ったが見つからず、自分で考案したという。保戸田さんは「製品化に協力してくれる企業があれば、ライセンス供与なども積極的に考えたい」と話す。
 対して、千葉工業大助教授(製品デザイン)の松崎元さんは「すばらしい工夫が凝らしてある」と保戸田さんをほめるが、「安定度を優先して車体が長く、小回りが利かない。足もとに子どもを乗せる形式で、こぐ時にガニまたになるスタイルが嫌われ、若い母親には売れないのでは」と、商品化の厳しい現実を語る。
 松崎さんが選択肢の一つとして提案するのは、小さな前輪が二つあるスポーティな三輪自転車。カーブでも、全輪が接地したまま車体だけが斜めに傾く設計で、安定感はある。ただ、幅が六十センチもあるのが難点。スーパーの駐輪場や玄関先で邪魔になりそうだ。
 松崎さんは「車輪の径を小さくすれば低重心で安定するが、段差を越えにくいし、足の操りが忙しくなる。転倒時にも安全で頑丈な車体は重量が重く、こぎ出しや押し歩き時は危険。求められる要件が多すぎる」と頭を抱える。
 二十年前、業界初の子どもを乗せるための専用二人乗り自転車を発売した丸石サイクルは「ハンドルの回転軸の真上にイスを固定した前乗せ型と、後輪を小さくして後ろの荷台にイスを固定した後ろ乗せ型を合体させた形になる可能性が高い。求められればいつでも提案する準備はあるが・・・」と話す。
 「自転車の三人乗りは今まで禁止されていたので、どの企業もゼロからの開発になり、労力も出費もかさむ」と話すのは自転車産業振興協会の小鷹狩幸一統括事業部長。協会は、三人乗り自転車の可否で、警察庁からげたを預けられている。
 小鷹狩さんは「三人乗り自転車は、どうしても価格が高くなる。でも子どもの成長は早く、三人で使用する期間は短い。不要になった子ども席を荷物カゴなどに転用でき、価格もおさえて・・・と課題は山積」。メーカー各社の技術を結集するが、現時点で警察庁から具体的スケジュール方向性が出ておらず、手探り状態と困惑気味だ
 一方、松崎さんは、「開発費に見合う売り上げが見込めなければ、企業は手を出せない。普及させるには、購入時に国から補助金を出すことも考えて。売れるかどうかは警察庁の指導の厳しさにもよる」と、開発の行方を不安視する。
 関係者の皆さま、そうこう言っているうちに子どもはどんどん大きくなるし安全で割安な自転車を一日も早く開発して。

中日新聞 2008年3月16日(日曜日)

 三人乗り禁止に対する反論、意見、現状を受けて、警察庁が三人乗り容認に向けて調整に入った模様・・・との報道。

NHK(総合)テレビ ニュース7 2008年3月4日(火曜日)

自転車3人乗り容認検討 

母親ら反発受け警察庁『専用車』前提に

 六歳未満の幼児二人を自転車の前後に乗せた「三人乗り」について警察庁は三日、「安定性が確保できる自転車の開発」を前提に許容する方向で検討に入った。自転車業界に開発の可否を打診する。

三人乗りは道路交通法などで、もともと禁止行為だが、同庁が昨年末、「乗車幼児は一人まで」とする原則の周知徹底を図る方針をあらためて示したところ、「女性の社会進出を無視する政策」などと若い母親を中心に反発する意見が同庁などに相次いだ。

 三人乗りは、違反すれば「二万円以下の罰金、または科料」の対象となる。現実には警察官による警告がまず行われる。
 警察庁は昨年末、安全教育の基本となる「交通の方法に関する教則」(国家公安委員会告示)の自転車に関する内容を三十年ぶりに見直すことを決めた。
 報告書では、自転車の前かごや荷台の幼児座席に乗せる幼児については「一人まで」と明示すべきとされ、同庁は現在、この報告書に沿って見直し作業を進めている。
 こうした動きが報道されると、母親たちからは抗議の声が上がった。
 一方で、警察庁は、幼児二人を乗せざるを得ない保護者らの存在も認識しており、砂袋などを使った三人乗りの走行実験の結果、「一人乗りの時に比べて著しく不安定にならない構造」が技術上可能であれば、例外的に走行を認める方向で検討することにした。
 仕様など詳細は未定だが、自転車の大きさは内閣府令で定める現行の大きさ(長さ百九十センチ以内、幅六十センチ以内)を超えない範囲で、低重心化などが考えられるという。

東京新聞 2008年3月4日(火曜日)

自転車三人乗り 禁止徹底
子育て母さんの反発ありますが・・・事故深刻

 幼児2人を前後に乗せた自転車の三人乗り禁止を徹底―。警察庁は早ければ3月にも「交通の方法に関する教則」を改正し、自転車への指導強化を図る方針だ。一方、保育園の送迎や買い物で三人乗りを活用する親は多く「生活が大変になる」「少子化対策に矛盾する」などと反発する声も出る。(渡部穣)

その一 教則を改正
 「三人乗りができないと、15分ほど早く家を出なくちゃいけない。朝の忙しさが分かっていない。生活が確実に不便になる」。街中で三人乗りをしていた母親は不満そう。別の母親も「保育園も少なくて、近くまで行けるバスもないのに。三人乗りの禁止は、子育て支援に逆行している」と苦言をくちにする。
 道路交通法で、三人乗りは「乗車制限違反」。二人乗りでも「6歳未満」の同乗しか認めていない。警察はこれまで違反行為を厳密に取り締まっていなかったが、昨年の道交法改正(今年6月施行)から強化の方向に動いている。自転車のマナーなどを定めた教則の改正もその流れだ。
 その背景に、自動車事故の減少と比較して、自転車の事故が目立つ現状がある。
 自動車事故の死者は2006年までの十年間で45%減少したが、自転車事故の死者は23%減と半分の減少幅。さらに、重傷者が増加したのは、自転車事故だけだった。06年、自転車に同乗中にけがをした6歳以下の子供は二千百五人。05年に2人、04年に三人の死者も出ている。警察庁によると、自転車の事故の七割に何らかの交通違反があった。

その二 指導も強化
 昨年の道交法改正に伴い、十三歳未満を除き、「自転車通行可」の標識がない道路で、原則車道左側の通行を義務づけるルールなどを徹底。教則改正では三人乗り以外、自転車乗車中の▽傘使用▽携帯電話の操作・通話▽ヘッドホンステレオの使用―も禁止する予定だ。
 実際、規則は強化されるのか。
 警察庁の「自転車の安全な通行方法等に関する検討懇談会」座長の吉田章筑波大大学院教授は「教則の改正がよりどころになり、警察も取り締まりやすくなる」と話す。
 自転車の違反行為で、各都道府県警が昨年交付した警告票は約百七十五万件(昨年11月末現在)で、前年同月比34%増だった。吉田教授の予想では、教則改正でさらに増加が加速。悪質な場合、都道府県ごとの規則で定められた罰金が科せられる例も増えそうだ
 日常生活で三人乗りをしている親から、反発する声が出る一方「指導の強化はやむを得ない」という意見も多かった。走行中や乗降時にバランスを崩して転倒し、子どもにけがをさせた経験がある親も多いからだ。
 自転車同乗中の六歳未満のけがは、四割以上が頭部。ある母親は「三人乗り禁止より、(道交法で努力義務になった)ヘルメット着用が先では」。
 消費生活アドバイザーで、母親グループ「子育てグッズ&ライフ研究会」代表の宗沢美果さんは「安全の徹底には賛成。だが、保育園の送迎に便利なバス整備など、子育てサポートも併せてやらないと、母親は苦しい」と話す。
 モータージャーナリストの三本和彦氏は「教則の改正は効果がない。自転車専用道路を整備するなど、実質的な方策を打ち出す必要がある」。
 ちなみに、幼児2人を自転車に乗せて押して歩くのは「違反ではない」(警察庁)。保育園の送迎などで片道だけ“押し歩き”すれば、時間を節約できますよ。

片道は「押し歩き」で送迎いかが

 「自転車通行可」の標識がない場合、原則「自転車は車道左側通行」が徹底される。

中日新聞 2008年2月4日(月曜日)

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